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課外活動 復活へ道半ば オンライン活用も明暗

 大阪大の課外活動団体は変革を迫られている。阪大は独自の活動基準に基づき、課外活動については現在屋外における個人活動のみを許可している。感染対策と活動の平常化の双方を求められる中で、課外活動団体は試行錯誤を続けている。

 

 オンラインツールを生かして活動していたのが大阪大学陸上競技部だ。今年の大学陸上界は、複数の競技会が中止となるなどコロナ禍の影響を避けられなかったという。部としても、緊急事態宣言が発令されていた中では個人でのランニングや筋トレを強いられた。遠隔でも一緒に活動できるよう、ウェブ会議システム「Zoom」を用いて筋トレをしたという。また会員制交流サイト(SNS)を通しての情報発信や、Zoomで新入生と部員が話をする機会を設けることで、オンラインでの新歓に力を入れた。7月以降は大会にも参加できており、少しずつ本来の部活動を取り戻そうとしている。

 

 苦境に立たされているサークルもある。「かるたは対面でないと活動が難しい」と語るのは、大阪大学競技かるた会の羽原亮さん(人・2年)だ。今年は8月まで活動を停止していた。現在は練習場所の換気を徹底し、参加人数も減らして対面で活動しているが「音が気になるので窓を閉め切ってやりたい」と本音を口にする。大会が少なくなる中で、モチベーションを維持できない部員が増え、サークルの雰囲気も変わったという。羽原さんは「実力のある人はこれまで通り練習に顔を出しているが、中級者や初心者が来なくなってしまった。会話も内輪ネタが増え、閉鎖的な空間になっている」と分析する。「もし私が今年の新入生だったら、このサークルには入らなかったと思う」と苦しい表情を見せた。

 

 大阪大学古美術研究会は、9月から神社仏閣の見学会を再開した。訪問する際にはマスクを着用し、部員を2~3つのグループに分けて、少人数での見学を心がけるなど感染対策には余念がない。会長の稲垣慶一さん(文・2年)は「見学会を再開したいというメンバーの意向もあり、独自の感染対策ルールを設けて活動することにした」と語る。一方新歓の成果は良いとはいえない。「(これまでは)興味を持ってくれた新入生を部室に案内する形をとっていたが、今年はそれができなかった」と稲垣さんは肩を落とす。「やはり直接顔を合わせて活動することが重要だと思う。活動から遠ざかっているメンバーでも気軽に参加できるように、活動内容も工夫していく必要がある」と来年度以降を見据えた。

 

※活動内容は2020年12月に行った取材に基づくものです

 

【塩澤広大】